観戦レポート 20201206 BOM WAVE03 ~ Get Over The COVID-19 ~③一成 ウォー・ワンチャイ

”最先端の総合武道”空道 大道塾 三鷹同好会/Team Tiger Hawk Tokyoの小野です。

今頃で大変恐縮ですが、(^_^;)

BOM試合を中心に、一成の前後の試合も含めてレポートと展望を書いてみます。

http://bom.tokyo/BOMwave03_02.pdf

Battle of MuayThai

略してBOMです。

ムエタイルールにこだわったプロモーションで、昨年のCOVID-19感染拡大の中でも後半は集中的に興行を開催し、オンライン配信も活かして存在感を増したと思っています。

PartⅡ 第9試合 WPMF 世界スーパーフライ級・BOM スーパーフライ級Wタイトルマッチ 3分5R

片島 聡志 vs. 一成 ウォー・ワンチャイ

(公式YouTubeチャンネルにアップされたらリンク貼ります)

今回のBOM興行には、小野がセコンドを務めた阿部秀虎(鷹虎ジム)も参戦したので、秀虎の試合が終わった後に通路から観ていた試合でした。

今回のBOMは、奥脇竜哉vs.秀虎大崎孔稀vs.サンチャイの2試合を「ストロングポイント」と「引き出し」をテーマとしてレポートしました。

この試合もまた、同じ観点から観ると興味深いところがあります。

一成は日本でジュニア時代にアマチュアタイトルを総なめにした「西の神童」です。

並行してタイでも経験を積み、むしろタイでの戦績が評価された「逆輸入ファイター」的な位置づけで、KNOCKOUTに参戦、初戦こそ落としましたが、その後は連勝を重ねてKING OF KNOCKOUT初代フライ級チャンピオン決定トーナメントを制しています。

決勝の相手は大崎兄弟の兄、一貴でしたね。

ウェイトが合えば、その再戦も、孔稀との試合も観てみたいと思っています。

対する片島。

藤原ジムでキャリアをスタートさせたと、実はこの日に聞いたのですが、言われてみれば強いローとパンチのコンビネーションで攻めるスタイルでした。

藤原あらしに勝ったことで注目を集め、その後も強豪選手と渡り合ってきた選手です。

片島の持つWPMF 世界スーパーフライ級のタイトルを賭けての試合となりましたが、正直なところ、WPMFのベルトよりも、上記の活躍から一成の評価のほうが高い組合せだったはずです。

一成はBOMのベルトを賭けたWタイトルマッチとなっています。

一成の前戦は、BOMの38日前、「NO KICK NO LIFE」でした。

やはりキック界のプロスペクト(将来有望な若手)の1人、岩浪悠弥との1戦を2Rヒジ打ちによるKOで制しています

この試合は競ると予想していましたので、意外な結果ではありました。

第1Rを見ても、岩浪は三日月蹴りとティープを上手く使って距離を保ち、一成のプレスに対抗しているように観えました。

対する一成は、持ち味である強力なパンチを軸にラフな攻め方で、リズムとしてはかみ合ってないように観えました。

何度かローブローをアピールしていたのは、ダメージではなく、流れが良くないから間を置いて仕切り直したい気持ちを表しているように思います。

その意味では予想通りの立ち上がりでしたが、1R終了時の岩浪の表情に、何となく疲れを感じたのも事実です。

2Rも一成はペースを変えることなく、強打でプレスし、ヒジをクリーンヒットさせます。

終わってみれば、やはり一成のプレスの強さが効いたのだと言わざるをえない、圧巻のKOでした。

さて、前戦を持ち出して長くレポートしたのは、片島戦との共通項が多いからです。

片島vs.一成の立ち上がりも、一成が前に出て距離を詰め、強いローとパンチを狙います。

しかしながら、片島のティープが実に的確で一成の前進を止めるだけでなく、時に後退させることにも成功しています。

正直、片島にはあまりティープのイメージが無かったので、そのタイミングの良さと精度に驚いて「上手い!」と独り言を何度も言ってしまった程です。

(^_^;)

これは片島の「引き出し」でしたね。

岩浪戦は当然観たでしょうし、プランに組み込んでいた可能性は高いと思います。

それでも、タイで実績を挙げてきた一成相手に実行するには、もともとの技術力がないとできません

一成も怯まずに強打を振り続けてプレスしますが、片島は要所でクリーンヒットを許さず、試合が進みます。

本来、片島も引き出し技術でいなすよりは、ストロングポイントである強い攻撃を活かして勝つ選手だと思っているのですが、一成がそれを許さない展開に持ち込んだと思いました。

試合中に、戦前に描いていたプランの通りに行かないことはままあります。

…と言うか、小野の現役時代には、99%上手くいきませんでした(笑)。

(^_^;)

ではその時どうするか?

小野は、違う「引き出し」があるなら、それを開けてみることがベターだと考えています。

しかし、一成は岩浪戦でもそうだったように、自らのファイトスタイルを変えようとはしませんでした。

何度もティープに阻まれながら、時に大きくバランスを崩しながらも、自身のストロングポイントである強打のコンビネーションを出し続けます。

結果として、片島は上手く一成のリズムを止めながらも、自身のストロングポイントを発揮できないまま試合を続けることになりました。

そして4R、一成は跳びヒザ蹴りも交えてのパンチでついにダウンを奪います。

一成にすれば、これでするべきことを遂行できたという感じだったのでしょうか、ムエタイ興行ということもあり、5Rは流す展開として判定勝利を収めることに成功しています。

試合後のコメントでは、内容的に充分満足はしていないようですが、国内では屈指の実力者である片島に「試合を作らせなかった」ことは特筆すべきことです。

相手が技術的な引き出しを駆使して試合を支配するのを、自らのストロングポイントである強打とアグレッシブさで潰したわけですから。

さて、その一成の次戦は既に発表されています。

2/24(水)NO KICK NOLIFEにて、元新日本キックボクシング協会フライ級王者の麗也との好カードです。

麗也は若くしてそのテクニックと強打で注目を集め、2015年にHIROYUKIをKOして新日本キック協会のタイトルを手にしています。

その後、拳の怪我が長引き、一度は引退宣言しながらも、今回の復帰戦でいきなりトップ選手と絡むことになったわけですが、あながち不釣り合いなマッチメイクではないと思います。

麗也もまた、攻撃力が目立つ選手ですが、ムエタイスタイルの技術的な引き出しも多い選手です。

麗也の拳の治り具合に左右されるとは思いますが、一成が直近2戦のような「力押し」をした場合、麗也の首相撲に阻まれてカウンターを被弾…なんていう展開もあっておかしくありません

2戦続けて強豪相手に圧勝している一成が、それでも修正ポイントを自覚してアジャストしてくるかが、麗也の拳と並ぶ勝負ポイントになるのかな、と思っています。

花岡vs.吉成も合わせて、楽しみな興行です。

お読みいただきありがとうございました。

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