「脳トレ」としての武道/格闘技②

”最先端の総合武道”空道 大道塾 三鷹同好会/Team Tiger Hawk Tokyoの小野です。

前回の概論に続き、具体的に考えていきます。

なんで武道/格闘技が脳トレになるのか、ポイント分けして押さえてみましょう。

1. 自身の身体をコントロールする必要がある。

これは、どのスポーツにも基本的に共通項だと思います。

身体を支えているのは骨格や靭帯などですが、身体を動かしているのは筋肉。

そして、どのように動かすのか指示しているのは脳なわけです。

したがって、身体を動かすこと自体が脳トレ的な要素を含んでいると言えます。

脳には「可塑性(かそせい)」、つまり変化しうる能力があることが最近解ってきています。

ちょっと前までは、脳細胞は死滅するだけ、イコール脳の成長も一定で止まり、後は衰えるのみと考えられていましたが、どうもそうではないようです。

脳全体の細胞数は、言葉も話せないような幼いうちにピークアウトするようですが、神経細胞どうしのネットワークは増強されうること、記憶を司る「海馬」の一部の細胞は本当に増殖することなどが解ってきています。

何歳になっても、脳は変化に適応していけるということです。

ただし、自分の身体がどのように動いているのか意識せずに運動しているのであれば、脳は(少なくとも今以上に)成長することはないのではないでしょうか。

「今できることの繰り返し」は、今の脳のままでできるからです。

変化を意識的に脳に与えるには、自分がどう動いているかを意識すること。そして指導者がその意識を促すことが重要だと思います。

ランニングひとつでも、適当に走るよりはどういうフォームで、重心をどう移動させて走るのかを意識することで、脳の活性化も期待できますし、故障も防止できます。

細かく言えば、腕の振りは肩甲骨から動かして肩が上がらないようにするとか、足裏をどのように接地させてどのように踏み出せば重心移動がスマートにできるかなど、意識するポイントはたくさんあります。

※小野はランニングのトレーナーではありませんので、イメージ程度と捉えてください。

単にストレス解消! とやみくもに身体を動かすのでは、疲れるだけ・ケガをするだけですね。

その意味では、スポーツ指導者は、生徒さんたちひとりひとりにとって、どのような身体の動かし方が適切で、どのような修正が必要になるのかを意識しておく必要があると思っています。

ある格闘技ジムで、会員さんのフォーム修正を禁じられているとか、実際に会員さんから「教えないでくれ」とクレームが入った、なんていう話を聞いたことがあります。

事実確認まではしてませんが、本当ならちょっともったいないですね。

今できていない動きをできるようになる過程こそ、脳の成長を促すという絶大なメリットをもたらします。

しかも「できなかった事ができるようになる」達成感に加え、「安全にスポーツを楽しむ」ことももたらしてくれるのです。

次回以降、スポーツの中でも、武道/格闘技が脳トレ要素高めな理由の話に続きます。

1. 自身の身体をコントロールする必要があり、  ←今回

2. かつその身体操作のバリエーションがとても多く、  ←次回

3. 対人であるため、瞬間的な判断力が求められるゲーム的要素もあり、

4. しかもまったく同じ局面は2度となく、

5. かつ、他者との協働が必要

タイトルとURLをコピーしました