”最先端の総合武道”空道 大道塾 三鷹同好会/Team Tiger Hawk Tokyoの小野です。
武道/格闘技が脳にいい影響を与える可能性について考えてみてます。
今回は、3点目のポイント「対人であるため、瞬間的な判断力が求められるゲーム的要素がある」ことについて。
ゲームというのも意味の広い言葉ですが、例えば囲碁や将棋が脳に良い影響を与えることは昔から言われていますし、だからこそ人工知能の能力を測る材料とされてきたわけです。
そして、いわゆるテレビゲームは、長い間教育の観点からは悪者扱いでしたが、近年になって必ずしもそうでもないことも解ってきています。
特にアクションゲームについて言うと、動体視力・視覚判断力を有意に高めるという実験結果が報告されています。
でもまあ、これは感覚的に解る気がしますね。
しかし、マルチタスク処理能力や、空間処理能力の向上が認められたり、新しいことの理解・習得速度の向上や、注意力(ノイズの多い環境下でひとつのことにフォーカスする能力)も向上するとのことで、そこまでくると驚かされます。
小野は子どものころからテレビゲームをする習慣がないので、少し損をしたような気がしています(笑)。
アクションゲームをすることで、大脳皮質の変異が認められるとすれば、武道/格闘技にも同じような効果は見込めるのではないでしょうか。
どんな武道/格闘技でも、当たり前ですが対人練習は欠かせないものです。
試合では、相手のアクション(攻撃)に対してリアクション(防御やカウンター攻撃)をし、その上で自分が勝つには、相手がリアクションしづらいアクションを起こさないといけないわけです。
それも、相手がパンチを打ってきてから「どうしようかなあ」とかはありえませんよね。
たぶんそう考える前に、考えるための意識がなくなってしまいます。(^_^;)
したがって、即座にやることを決めて実行する判断力が必要とされます。
パンチをスリップでよけるか、スウェイするか、ブロッキングするかは、考えている暇はないはずです。
だからこそ、練習では相手との距離や、相手の戦力に応じてさまざまなディフェンスができるようにしておくことが必要となります。
そして、一方的に勝てる相手ばかりではないため、どうしても「攻防」が発生することが必然である以上、「相手がこうしてきたら、自分はこうしよう」、「自分がこうしたら、相手はこう考えてこうしてくるんじゃないか」というパターンはいろいろありうるわけですね。
実際のスパーリングや試合においても、
1. ローキックを蹴ってみた
というアクションに対して、相手のリアクションは、
1-1. スネでカットした
1-2. 足を引いてかわした
1-3. パンチでカウンターを狙ってきた
1-4. 蹴り足をつかみにきた
1-5. 反応できずに蹴られてくれた
などなど、さまざま考えられますよね。
各反応に応じて、「じゃあ次はどうするか」を決めるわけです。
ちょっとテクニック講座みたいになりますが、例えば、1-1. スネでカットした に対しては、
1-1-1. 1発目をカットさせて、その脚が下りた瞬間、強い2発目を蹴る
1-1-2. カットさせておいて、蹴り足で相手の脚をひっかけてバランスを崩す
というようなパターンがあります。
1-1-1.が上手かったなあと個人的に思うのは、北沢勝さんと、望月竜介さんです。
2,3日は脚痛かったですね...(^_^;)
1-1-2.は、タイ人はよくやりますね。タイ人同士だと引っ掛からないからかあんまり見ませんけど、外国人にはこれでこかしたり崩して蹴ったりします。
本論に戻ると、前回触れた通り「そもそもローキックどう蹴るのか」のバリエーションも種類がある上に、相手の反応に対して次のアクションを決めていくという要素が、武道/格闘技には欠かせません。
ちゃんと考えて練習してると、格闘技中の脳はムチャクチャ忙しいはずです。
試合でも、球技などではありうる「作戦タイム」も、少なくとも1R終わるまではありませんので、常に現在進行形で動いている状況について、自身の頭で判断し、セコンドの指示を実行し、相手の出方を考えて次の手を考えて、とやらないといけないです。
そこで勝とうとするならば、普段の練習においても自身の持つ選択肢と、相手の反応に対してどのように判断するか、いろんなパターンを考えて反復しておかないといけません。
それらのプロセスは、脳の活性化や能力アップももちろんのこと、試合結果にも繋がるのでは、と思っています。
一番考えたやつが勝つ。
そう言ってもいいんじゃないでしょうか。
次回に続きます。
1. 自身の身体をコントロールする必要があり、
2. かつその身体操作のバリエーションがとても多く、
3. 対人であるため、瞬間的な判断力が求められるゲーム的要素もあり、 ←今回
4. しかもまったく同じ局面は2度となく、 ←次回
5. かつ、他者との協働が必要