20220710 HOOST CUP

54Kg契約EXルール3分3R(延長1R)

國本真義 vs. 山田航暉

HOOST CUP KINGS NAGOYA11「山田航暉VS国本真義」試合映像公開

KINGS NAGOYA11【ホーストカップHoostCup】2022年07月10日 名古屋国際会議場 イベントホール

今回は、「埋もれさせたくない好試合」を取り上げて、気づいたことを書き留めてみたいと思います。

両選手とも、一般ファン層にまで名の知られた選手とは言えないかもしれませんが(失礼を承知で)、小野としては今回のホーストカップでは最も注目したカードでしたし、結果を観て、やはり期待通りの好試合となったなと思います。

國本は西日本を主体に、各団体のリングに上がっている選手ですね。

そのため名前はよく聞きますし、元WMCインターコンチネンタルのバンタム級王者でもあります。

戦績は50戦を超え、気づけばベテランの域に位置づけてられるキャリアとなっています。

印象としては、まずは強靭なフィジカルに支えられたパワーとスピードを持ち味とする選手だと思っています。

4月に名古屋で行われた「Suk Wanchai MuayThai Super Fight」では、タイで活躍していたタナデーと闘いました

タナデーは、山田と同じキングムエ所属の ”ムエタイメジャーリーガー” カイト・ウォーワンチャイこと福田海斗の元ライバルであり、現在はキングムエでトレーナーを務めていますが、来日はこの4月と、ほとんど本物の現役タイ人と変わりません。

結果としてはタナデーの圧勝ではありましたが、前半は國本もチャンスを作った場面もあったと思いますし、組まれた価値のある試合になったと思います。

実は、小野もちゃんとフルで國本の試合を観たのは、この時が初めてでしたが、正直「こんな選手がいるんだな」と驚きましたね。

タナデーとムエタイルールで受けたこと自体凄いなと思いましたし、勝負になる選手はそうはいません。

そして、その國本と闘う山田。

カードが発表された時には驚きましたが、まあそういうことかと納得したところもありました

その理由の大きなものとしては、山田が4年ほどのブランクをおいて復帰して2戦目であることです。

そこで、現役タイ人レベルと試合できるレベルのタイトルホルダーを選ぶのか、と驚きました。

それでも納得した理由として、國本がタナデーと闘った4月の同じリングで、山田は復帰戦を老沼隆斗と闘い、接戦ながら勝ちを収めていることがあります

(この試合も観返したいのですが、現時点でMuayThai Super Fightの公式YouTubeには上がってません (^_^;))

芋づる式に情報が増えて恐縮ですが(^_^;)、老沼はSTRUGGLE所属、若いながらもREBELSのタイトル獲得経験もあり、派手なKO勝ちで話題になることもある強豪です。

普通ならブランク明けで選ばない相手だと思います。

山田も若くしてWMCのタイトルホルダーではありましたが、20歳にして引退し、一度は「普通の(プロスポーツ選手ではない)」社会人になったものの、やり残したことを取り戻すために復帰した選手です。

佐藤孝也のキング・ムエ日記「ムエタイ最前線」:山田航暉 - livedoor Blog(ブログ)

この試合の前に、偶然老沼とも少し話す機会があったのですが、やはりオファーに驚いていましたし、山田を「参考にしていた選手」とも言っていました。

しかし、4年の間に立場はまったく変わっていますし、山田にとってはきついカードだなと思いました。

接戦ではありましたが、その復帰戦に勝った次戦が國本です。

要するに、山田サイドはリスクをとっても最短距離をいくつもりなんだなと納得したわけですね。

そして、復帰に向けた練習の中で、勝負できる手応えもあったのでしょう。

カイトやタナデーと練習しているのですから、自分の現在位置は判っていると。

あとはそれをリング上で証明すればいいということなのかなと思います。

相手を選んで勝つことを重視するのではなく、1戦1戦価値のあるものにしたいという意思を感じました。

國本vs.山田戦は、3分×3Rですがヒジ打ちや組んでの攻防が認められるルールで行われました。

1R

お互いに近い距離でペースを取り合います。

ローキックの蹴りあいから、山田がムエタイスタイルらしいミドルをひとつ。

ムエタイなら、國本が蹴られて退がったことで山田の評価になりますが、キックボクシングでは「アームブロックしている」とされる可能性もありますね。

対する國本は、アームブロック(実質的には蹴られて)からのローの蹴り返しでリズムを取り返そうとします。

ムエタイではミドルキックが評価されるとよく言われますが、蹴られた相手が崩れればその通りですし、崩されずに、この國本のように反撃できていればそこまで不利にはならないと思います。

ミドルキックのほうが大きい攻撃なので、イーブンにはならないでしょうが、蹴られっぱなしではないという評価になるのではないでしょうか。

キックボクシングならなおのことです。

そして、國本はローが当たることを感知して、チャンワソーン(受け返しで自分の攻撃を当てる)狙いを明確にします。

山田の左ミドルキックをスウェーしての右ロー。

山田も「効いてないぞ、蹴って来いよ」と強気を見せますが、逆に言えばもらっている意識があったということです。

山田も低い蹴りを多めに使い、ペースを取らせまいとしますが、ローキックからパンチへの切り替えの速さは國本が上回っているようにも思えます。

が、やはり要所での山田の右ミドルキックは國本にとって脅威なのでしょう。

丁寧にはずしながら、ローからパンチと展開を組み立てます。

はっきりした差はないものの、山田の圧力を國本が押し返してペースを取ろうとしていた印象です。

2R

両者ともにペースを上げます。

山田のミドルのキレは明らかに上がりましたし、國本のローから返すパンチも危ないニオイをさせます。

この試合の分岐点になったかなと思ったシーンは、この首相撲でしょうか。

結果として國本が押し倒しますが、ポジション取りは山田ですね。

國本は左リードブローからローで組み立てますが、山田は付き合わずにミドルキックから首相撲の展開が多くなります。

しかし、組み方のポジションは山田優位でも、フィジカルの強さを活かして押し込む國本も評価できるため、差はないかなという展開で最終Rへ。

3R

左右のミドルから組みを狙う山田に対し、パンチで散らしながらロー以外にも顔面前蹴りなどを使って揺さぶる國本。

その後のパンチの打ち合いの展開でも、ボディーショットを絡めた國本の攻勢が印象的でした。

首相撲への対処も徐々にできています。

しかし山田も首相撲からのヒザを効果的に入れ、おおざっぱに言えば試合前半は山田、後半は國本の印象で3R終了。

山田は、パンチへのディフェンスにまだ改善の余地があるように思います

ガードを高くして國本の強打はかろうじて防ぎましたが、このようなディフェンスができていたら、もっと楽な展開だったかもしれません。

あえて、山田の所属であるキングムエの動画です。(^_^;)

ムエタイで使われるパンチのディフェンス」

ボクシングなら高いガードを崩さないディフェンスで充分かもしれませんが、蹴りありヒジありではそれが必ずしもベストではありません。

國本が何度かトライしていますが、縦のヒジ打ちならガードの隙間から当たってしまうからです。

そして、高い蹴りを使う選手からすると、蹴りやすい構えになってしまいます。

したがって、腕を伸ばして相手を押さえるディフェンスとの組み合わせが必要になります

また、ブロックの陣形(手の位置)や頭の位置を変えられたほうが、相手にすると的を絞りにくいだろうと思われます。

ムエタイスタイルあるあるの話ですが、頭を振ってよける国際式ボクシングのディフェンスは、蹴りに対応しづらくなるためムエタイでは頻度が低くなります。

その真似をして頭を完全に固定してディフェンスする選手を見かけますが、そうであれば腕を伸ばすディフェンスやスウェーなどをうまく組み合わせたほうが、相手が狙いを絞りづらくなるはずです。

...かく言う小野自身もガードの隙間から頭突きをもらって倒されたことがあります。

(^_^;)

ディフェンスには、バリエーションと柔軟性が必要ですね。

ちなみに、小野が頭突きで倒されたのは空道ルールの話ですが、空道ならば腕を伸ばしたままにすると袖を掴まれて崩されるリスクも頭に入れないといけません。

ディフェンスは絶対の正解はないので、やはりバリエーションと柔軟性だと思います。

一方の國本は、ミドルキックに対するヨックバン(ヒザやスネでのカット)をしないために、山田の左右ミドルキックで押し込まれた感はあります。

セコンドの指示もあり、チャンワソーンでの展開を作りましたが、蹴られて押された印象は拭えなかったかもしれません。

それと、首相撲での劣勢でしょうか。

判定はドローとなり延長へ突入します。

延長Rはお互い一歩も引かない打ち合いになりました。

一発でも当たればどちらに傾くか判らない展開ですが、國本にはやや疲れが見えます。

組みの展開が影響したのだろうと想像します。

そこへきて山田のテンカオがクリーンヒット。

さらにボディーショットも決まり、國本を削りました。

おそらくこの時間帯の攻防が勝負を分けたと思われ、山田の3-0での判定勝ちとなりました。

両者の持ち味を出した好試合でした。

2人の次戦にも注目したいと思います。

さて、この試合に注目していたのは、山田の現役引退からの復帰2戦めだったからというのもあります。

20歳で引退と、そこからキャリアを始めてもおかしくない年齢でしたし、第一期KNOCKOUTのトーナメントで中山大雅に負けはしましたが、まだこれから上に行けると思っていたので、正直驚きました。

ただし、(少なくとも格闘家の)アスリートの人生設計は簡単ではありません

40過ぎまで現役の選手もいますが、逆に20代前半でキャリアを終える選手もいるのも確かです。

ちなみに、前述の中山もすでに引退しています。

そんな中で、山田の現役復帰は個人的に明るい材料です。

所属ジムの求心力も大きいと思います。

個人的には「引退」とか「現役」って何なのかなあ。

と、久しぶりに考えました。

以下、完全に私見でしかありませんので、そのつもりでお読みください。

小野自身は、アマチュア競技である空道を2006年に現役引退しました。

試合後のインタビューで「第一線から退く」という言い方で明言したのですが、これは空道ではレアケースです。

アマチュアである以上、出場料を払って好きに試合にエントリーすればいいだけなので、引退はなくともいいのですね。

これは空道を含めたアマチュアスポーツのいいところです。

個々人で競技との向き合い方を決められる。

それでも小野が引退を明言したのは、アマチュアであれば現役選手は「自身が所属するカテゴリーの一番上を目指す」のがスジだからだと思っていたからで、それを続けるのは無理と判断したからです。

具体的には「世界選手権大会での優勝は、もう狙えない」と決めたわけですね。

24時間365日、選手である生活ができないと、小野には無理な相談でしたので。

ちなみに2014‐15シーズンに「試合復帰」したことはあります。

全日本優勝を目標とはしていましたが(結果は2回戦敗退)、代表には呼ばれてもいかないつもりでしたので、やはり「現役復帰」とは違うかなと思っていました。

「武道」だから「試合には出なくとも生涯現役」とは思えていません。

逆に、練習量は不足していても試合に出続けて、気概としてトップを目指す選手たちはリスペクトしています。

そしてプロ選手。

こちらは、「必要とされる限りは現役」という定義はありえますね。

さらに、試合に出なくとも、その選手のブランドで仕事ができるなら生涯現役でもいいかもしれません。

しかし逆に言えば、楽しく続けることが許される世界でもないということです。

山田のように、プロとして仕事を続けるだけでなく、その中で高みを目指そうとするなら、

その厳しさは想像を絶します。

24時間365日強くなることを中心とする生活をしている、大勢のプロ選手たちの中で、さらに抜きんでなくてはならないのですから。

山田は、前述のように若干20歳にして一度現役を引退しています。

選手としてはまだまだこれから、という時期での引退には驚かされましたが、やはりそういうプロの厳しい世界で生きるためには、半端なことはできないという判断だったのでしょう。

プロとして闘い続ける厳しさは想像できるので、若いからと言って「引退は早いよ」とか「またやろうよ」なんて、うかつに言えることではないですね。

とは言え本音では、その厳しい世界で自らの存在を賭けてチャレンジする姿には勇気をもらえます。

…いろいろ書いてきましたが、結局は山田のカムバックが嬉しいですという話でした。

(^_^;)

社会人経験を経て、再び現役のプロ選手という不安定な世界に身を置いてでも、自分を自分たらしめる道はムエタイなのだという覚悟を感じる試合だったからですね。

次戦も、きっと簡単には勝てない相手と最高の試合をしてくれるのでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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