20211029 KNOCK OUT-BLACKスーパーウェルター級 3分3R・延長1R

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中島 弘貴(LARA TOKYO)

vs.

平塚 洋二郎(チーム・タイガーホーク/大道塾仙南支部)

”最先端の総合武道”空道 大道塾 三鷹同好会/Team Tiger Hawk Tokyoの小野です。

少し前の試合になりますが、久しぶりの試合レポートです。

大道塾の後輩である平塚洋二郎は、2022年の初戦を1月22日(土)に控えてますので、その煽り的に、ちょっとでも興味を持っていただければという思いから、このタイミングでリリースします。

この試合、小野もセコンドに入りましたので、コーナーマンの視点から書いてみます。

約1年ぶりの試合となった洋二郎。

前戦もレポートしましたが、まあコーナーとしては複雑な思いの試合でしたね。

(^_^;)

今回はどうだったのでしょう。

平塚洋二郎は、小野の所属する総合武道”空道” 大道塾の全日本チャンピオンです。

空道引退後に、「空道を有名にしたい」という思いからプロのキックボクシングに挑戦し、

2018年にはJ-NETのスーパーウェルター級タイトルを獲得しました。

キックボクシングの練習拠点は、仙台の「鷹虎キックボクシングジム」です。

小野は大学から大学院まで7年間仙台市で過ごしています。

大道塾東北本部所属でした。

洋二郎の現在の師である佐藤繁樹仙南支部長は、東北本部時代の同期でもあります。

と、仙台つながりではあるものの、支部も世代も違う後輩である洋二郎とは、彼が高校生の頃に合同昇段審査で顔を合わせたことがあるようですが、実は小野はあまり覚えてません。(^_^;)

日本代表合宿で声をかけられてからの付き合いになるでしょうか。

小野は身体指数(身長+体重)-250クラス、洋二郎は-260または+260クラスでしたので、対戦はありませんが、初優勝が同じ2006年だったりします。

小野はその試合を最後に現役引退していますが、若かった洋二郎はその後も2度王座についています。

生命保険を扱うライフプランナーとして全国を飛び回りながら、各団体のリングに上がり続ける、大道塾の理念「社会体育」を体現する男です。

デビュー2戦目からは小野もセコンドを務め、その縁で鷹虎ジムの他の選手のセコンドもお手伝いさせていただいているわけです。

タイトル獲得後2年ほど連敗が続き、2020年に久しぶりの勝ち星を上げたわけですが、役割を終えればいつでもリングを降りる覚悟とともに闘い続けています。

ちなみに、ゲスト解説のぱんちゃん璃奈は洋二郎に対し「空道の選手なので多彩な足技が楽しみ」というようなコメントをしていました。

…ぱんちゃんとスパー経験もある、吉祥寺支部の大倉萌の印象が強いのでしょうね。

残念ながら全く違うスタイルです。

(^_^;)

対する中島。

奇しくも洋二郎が空道で初優勝した2006年にシュートボクシングでデビュー後、RISE、Krushと戦場を変えながら連勝を重ね、It’s ShowtimeやK-1にも参戦。

山内裕太郎、日菜太、アルバート・クラウス、健太、ジョーダン・ピケオー、海人などの強豪選手とも拳を交え、勝つときは強打でのKO勝ちという選手です。

つまり、戦績でははるかに格上の相手だと言えます。

さらに言えば、洋二郎が連敗したKrush元王者、あえて言いますが「ボクシングキック」の頂上にいる選手です。

KNOCKOUTには2021年から参戦、KO勝ちを収めて今回の試合につなげています。

戦績の劣る相手との試合を受けた視線の先には、2019年にKO負けしているKNOCK OUT-BLACKスーパーウェルター級王者の海人がいることを明言しています。

つまり。

洋二郎にとってはビッグネームとの試合であり、勝てば本願である「空道」をアピールするまたとない機会になるでしょうし、負けて失うものは少ないわけです。

もちろん、大道塾の看板を背負う以上、いや、そうでなくとも勝負に敗れて失うものがないわけはありませんが、キックボクシングのリングで洋二郎が勝った場合、中島は通過点とした試合を落とすことになり、双六なら「振り出しに戻る」くらいのダメージを負います

この2人の立ち位置と思惑の違いは、試合にも現れたのではないでしょうか。

試合展開を追ってみましょう。

1R、お互いにローキックの蹴り合いで様子見の立ち上がりです。

こちら側としては、中島がローが強いこと、そして相手のローをあまりカットしないことを想定し、この蹴り合いの展開は折り込み済みでした。

洋二郎はローは基本的に脚を引いてすかし、軽くても蹴り返します。

立ち上がりで脚にダメージを負う、あるいは蹴りの強さに押し込まれなかったという意味ではプラン通りのいい立ち上がりでした。

欲を言えば蹴った後に立ち位置をずらすなどして、中島がローを蹴りづらい状況を作りたかったのですが、洋二郎は最低限必要な仕事をしています。

そして洋二郎は軽めの左ミドルキック。

中島が返してきた右ミドルキックをキャッチして足払いに成功します

これもまたプランに入れていた動きで、洋二郎は正確に遂行してくれました。

中島は蹴り足のキャッチが認められるルールでの戦績は少なく、耐性が低いと読んでいた通りです

K-1/Krushではキャッチは一切認められませんが、KNOCKOUTでは有効です。

フィジカルでは見劣りしない中島が簡単に転ばされたのは、「蹴り足をつかまれる」想定の練習をしていなかったからだと思います。

中島は得意の左ボディーショットや右のオーバーハンドで挽回を狙い、展開的にイーブンで初回を終えることになります。

インターバルでは、中島は2Rから絶対に前に出て強打を振ってくるから、合わせていこうと話した記憶があります。

格上の中島は、イーブンの立ち上がりを許せない心理から、多少強引でも勝負を決めにくるだろうという読みでした。

2R、読み通りに中島はローキックを蹴らずにパンチの距離に詰めてきます。

当たれば終わるだろうと思う右フックを強振しますが、洋二郎は落ち着いてカウンターの左を合わせ、リズムをつかませません。

もう少し動きながら、立ち位置をずらしながらカウンターを狙いたいところではありましたが、中島の狙いをはずしていたのは確かです。

中島は蹴り技をほぼ使わず、近距離に立って少ない手数でプレッシャーをかける戦術に切り替えたように思いました。

これは、こちらサイドからするとイヤな流れです。

動いてはずしているならともかく、こちらも止まってカウンターを合わせる「待ち拳」になっていたため、手数を減らされてプレスされるのは、チャンスが減ることになるからです。

そしてここぞとばかりに身体ごと預けて打ってくる右は、危険な匂いしかしませんでした

試合後、洋二郎自身は「効いたパンチはなかった」と言っていましたが、記憶がないだけだと思われます。

(^_^;)

それでも、中島の右はギリギリで芯をはずしていましたし、カウンターも見せてよく対応していたのは確かです。

それに対して中島はさすがでした。

右を見せておいて、左ストレートを当てにくる戦術に切り替えてきました

左ストレートは、一般的には「ジャブ」と同じ意味で使われることもありますが、画像で判るように中島のそれは全体重を乗せて差し込んでくる「ストレート」以外の何物でもありません

しかも、右と比べてモーションが小さく、カウンターも合わせづらいパンチです。

見た目が派手な右のフルスイングよりも、この左数発でだいぶダメージを負わされたラウンドでした

この展開は、中島が格の差を見せてKOを狙うよりも、まずは生き残ること、勝つことを選択したことを意味します

3R、洋二郎サイドとしては勝負に行かせるしかありません。

中島はやはり左ストレートと、それを見せたからこそ効果的な左フック、そして顔面へのヒザ蹴りと攻勢を強めますが、洋二郎はカウンターを見せることで少しずつはずしながら、攻撃をまとめようとします。

しかしながら、圧力とヒットはやはり中島が上を行きます。

押されてふらふらとバランスを崩すシーンも印象のよくない洋二郎ですが、最後までカウンターチャンスを狙い続けます。

そのまま試合終了。

判定は、もちろん3-0で中島でした。

しかし、報道で言われたような「圧倒」ではなかったのでしょう。

試合終了と同時に首をかしげていましたね。

それでも中島は、右で倒せないとなると、左を正確かつ強く使って試合をコントロールするあたり、ただの強打者ではなく、やはりキャリアを積み重ねてきた一流選手なんだなと思いました。

その変化に対応できなかった洋二郎は、まだまだなのです。

ただし、勝負なので負けたらそれまでの話なのですが、戦績で圧倒的に優る中島に対し、洋二郎はやろうとしていたことはできたと、コーナーマンとしては評価しています。

もちろん、「もっとこうすれば、ああすれば」はあります

中島の圧力が強いのは判り切っているので、本来なら、KNOCKOUTルールで認められている首相撲やキャッチングを駆使して止めるのが妥当なのですが。

今回の試合は、洋二郎にとって「ボクシングキックの頂点へのチャレンジ」という側面は間違いなくありました。

前戦でもそうでしたが、Krushでの連敗を払拭するには、得意分野で勝つのではなく相手の土俵で上回ってこそ、という思いはまだまだくすぶったままだったということです。

洋二郎のこういうところは、競技者/勝負師としては欠点かもしれませんが、新興勢力である大道塾が自らの存在価値を示してきた矜持でもあります。

その上で、中島には確かに「圧倒」されたのかもしれませんが、力の差は少しだっただろうと思っています。

これはこちらサイドとしては大きな自信になります。

もっとも、その「少し」を埋めるのがメチャクチャ大変なのは、選手やコーチのみなさんは重々ご承知ですよね。

さて、その平塚洋二郎。

次戦はもう間もなく、2022/1/22 同じKNOCKOUTです。

KNOCK OUT 2022 vol.1
『KNOCK OUT』は、2016年からスタートしたキックボクシングイベントです。

ボクシングキックの呪縛は、中島との激闘を通して解けたようですので(^_^;)

本来の姿を見せてくれるはずです。

よろしければ応援お願いいたします。

ところでこの中島戦。

相手方セコンドには、北斗旗全日本-250クラス王者の加藤智亮(誠真会館)がついていました。

小野の古巣、吉祥寺支部でもずっと一緒に練習していましたし、小野と同じ階級の現王者でもあります。

お互いやりづらかったことは言うまでもありません。

(^_^;)

中島の旧所属であるバンゲリングベイ・スピリットで練習していたので、その縁でセコンドについていました。

つまりこの試合。

選手セコンド合わせて8名のうち、3名が北斗旗全日本タイトルホルダーだったことになりますね。

空道も今年世界選手権大会を予定しています。

ご注目いただければ幸いです。

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