”最先端の総合武道”空道 大道塾 三鷹同好会/Team Tiger Hawk Tokyoの小野です。
今回も、小野がセコンドを務める試合が間近になりましたので、恒例の(笑)煽りレポートです。

その前に、前戦を振り返っておきたいと思います。
つい先月の試合ですね。翌日には次戦のオファーが来たと聞いていますので、プロモーター期待のカードを組まれるだけの結果となったということでしょう。
と言うのも、次戦の相手もやはり強敵、KNOCKOUT期待のホープだからです。
最軽量であるスーパーフライ級を盛り上げていく役割を期待されていると考えてもいいと思います。
KNOCK OUT-RED スーパーフライ級 3分3R・延長1R
松﨑 公則 vs. 阿部 晴翔
晴翔については前戦レポートでも触れています。
小野がセコンドにつくようになった中央進出以来連敗が続いていましたが、やっと長いトンネルを抜けて、タイトルホルダーをノックアウトしてこの試合のオファーをいただきました。
対する松﨑。
33歳でプロデビューしてから13年、3本のベルトを獲得した”鉄人”です。
過去にうつ病を患ったことも公表しており、キックボクシングを通して病を超えた(あるいは共存できた)ことで、同じ病に苦しむ大勢の方々に勇気を与えている存在でもあります。
…いつもとトーンの違う紹介となったのは、小野が松﨑さんのファンでもあるからです。
(^_^;)
小野の後輩、末廣智明がキックボクシングに挑戦していた時期、主戦場だったREBELSで松﨑さんも試合をしていました。
また、松﨑さんの所属するStruggleの鈴木秀明会長とも、小野たちの師匠である飯村健一先生が親交があることもあり、身近な存在でもあったわけです。
しかしファンと言えるくらいの感情を抱いたのは、2018年の大﨑孔稀戦でした。
大道塾の選手(平塚洋二郎)が同じ興行に出場していたので、ライブで居合わせることができました。
ご存じの通り、大﨑孔稀はその後団体の垣根を超えて活躍する、若き怪物です。
圧倒的なスピードとパワーで襲い掛かる孔稀に対し、松﨑さんは劣勢を強いられます。
何度も倒されておかしくないパンチをクリーンヒットされながら、声を上げて反撃し、最終Rには孔稀の攻め疲れからか、やや優勢にも見える展開で試合終了。
判定で敗れ、ベルトを失った試合ではありましたが、そのファイターとしての姿に鮮烈な印象を持ったわけです。
小野は現役時代、ハートの弱い選手として有名でしたので(^_^;)、強敵にやられてもやられても立ち向かう選手には強烈に憧れます。
そしてこの日。
松﨑さんは現役引退試合として臨みました。
前々からカウントダウンしていたので、ファイナルになるのは判っていたのですが、まさか自分が反対コーナーにいるとは考えてもみませんでした。
試合前の松﨑。
いつもながらですが、覚悟の決まった表情です。
これが最後のリングになる、という思いもあったのだと思います。
いつものことではありますが、やはり体格では晴翔が見劣りします。
ただ、首肩周りのサイズ感では負けてませんね。
フィジカル強化は、晴翔の課題だったので、よく仕上げてきたなと思いました。
サウスポーにどっしり構える松﨑と、オーソドックスで動きながら様子を伺う晴翔。
晴翔はもともと構えがあまり良くなかったと、前回のレポートでも触れました。
前戦に続き、今回もよく改善されていたと思います。
そのひとつが、左手の使い方。
打撃格闘技は、言うなれば「空間支配力」の競争です。
接近すればお互いの攻撃は強く当たります。
タイプにより得手不得手はありますが、どちらの距離でもあるということです。
逆に離れればお互いに攻撃は当たりません。
どちらの距離でもないということです。
ではその中間、一歩踏み込めば攻撃が当たる距離はどうでしょう。
「まだどちらのものでもない空間」が、お互いの目の前にあることになります。
この空間を、どちらが自分のものにできるかが勝負を左右します。
そのために重要なポイントのひとつが、前手の使い方ですね。
蹴りの無い国際式ボクシングならばジャブの使い方になるでしょうし、蹴りのあるムエタイやキックボクシング、そして空道などの総合系においては、ジャブ以外にも相手を押さえたり牽制したり、場合によってはひっかけて崩すといった多彩な使い方ができます。
特にこの試合のように「ケンカ四つ」の場合、前手の使い方は相手をコントロールする上で重要です。
晴翔は、元々は飛び込んで強いパンチを当てたいタイプなのですが、この試合はよく我慢して中間距離の支配から攻撃を組み立てました。
松﨑の圧力が強かったことも、そうさせた理由でしょう。
しかし結果として松﨑は自分の距離になかなか入れず、充分にプレスし切れません。
実況も解説も、晴翔が入りたくても入れないという表現を繰り返し使っていますが、皆さんの目にはどう映るでしょうか?
本来の松﨑は前に出て強い圧力からローキック、パンチを繋いで接近すればヒジというパターンを得意とします。
しかも今回は体格的に劣る晴翔相手ですから、もっとプレスして晴翔の足を止めたいと考えるのが普通です。
それができなかったのは、晴翔が中間距離をコントロールしていたからです。
これはプラン通りでしたね。
松﨑は左のインローから左ミドルで先手を仕掛けますが、蹴られた晴翔もきちんと蹴り返します。
どちらも崩れないので、イーブンと考えるべきです。
松﨑は蹴り足をキャッチして崩そうともしますが、晴翔も何とかこらえます。
これで簡単にこかされてしまうようだったら、ペースは松﨑に流れていったかもしれません。
パワープレイで押されてしまうパターンは、こちらサイドがもっとも警戒していたものだからです。
晴翔は足を使いながら立ち位置を変え、徐々に自分からプレッシャーをかけ、先手で蹴るシーンも増えてきました。
コーナーを背負わせるシーンも増えます。
1R、採点上はイーブンかもしれませんが、ペースをつかみかけている実感を持って終えられました。
2R開始の時の晴翔の表情です。
ちょっと楽しそうですね。
コーナーは、手ごたえは感じつつもまだまだヒヤヒヤしていましたが。
(^_^;)
このRから、晴翔は左も蹴っていきます。
ケンカ四つの場合、距離が近くなる前足での蹴りはティープ(前蹴り)を除くと当たりづらくなります。
よって数も少なくなりますが、晴翔は上手く距離を合わせて狙いました。
ハイキックなら、ミドルキックに比べて近間でも蹴れるので、意表を突く意味でも有効でした。
そして2R以降、よく当たったのがこの左フック。
松﨑が前に出てくるところを、左に身体を逃がしながら上手くヒットさせます。
ケンカ四つの場合、基本的にはお互いの後手後足の攻撃が当たりやすくなります。
しかし逆に前手での、こういった外側からの攻撃もまた有効です。
そして右ストレート、右ミドルとヒットさせて、それでも前にくる松﨑をティープで押さえます。
よく見ると松﨑の背中の左側が赤くなっているのが判ります。
右ミドルをブロックし切れなくなっているということですね。
この時間帯は、完全に晴翔のペースでしたが、余裕はありませんでした。
圧を強める松﨑を、必死で先手を取って押さえていたという印象ですね。
松﨑もノーモーションの左で反撃します。
この距離は、ヒジも当たりますのでこちらとしては最警戒エリアです。
そして2R終了。
いよいよファイナルRです。
松﨑がいつものように叫び声を上げて自信を鼓舞し、ファンから歓声が上がります。
が、実は晴翔が先に気合を入れていました。
本人曰く、「怖いから先に叫びました」とのことです。
(^_^;)
松﨑の圧力と蹴っても殴っても怯まない姿は、相手にとっては恐怖だということです。
前に出る松﨑ですが、自身の距離に入る前に晴翔が先手で右ミドル、右ストレートとヒットさせ、左フックや左手のいなしではずす展開が続きます。
倒れるどころかぐらつきもせず接近してくる松﨑に対し、組んでもよく対処しました。
この展開が続き、試合終了。
ゴングと同時に、膝をついてお互いをたたえあう2人。
タイではごく普通の光景ですが、日本では珍しいかもしれません。
ノーサイド精神は、格闘技にもあります。
それまで面識のなかった2人が、9分間相手を殺すつもりで殴り合った果てにある風景は、敬意と感謝、大げさに言えば愛に満ちています。
...が、実は判定によっては延長Rがあるかもしれなかったんですよね。
(^_^;)
秀明会長もこちらのコーナーに挨拶に来てしまったので、「延長あるかもです」と答えましたが、会場からは挨拶にきた会長を追い返した失礼なヤツと思われたかもしれません。
(^_^;)
勝敗は、当人同士を含め明らかだったということでもあり、それ以上にお互いがお互いの、この日にできることを出し切ったことを認め合うことができたのでしょう。
判定は3-0で晴翔に上がりました。
胸を張って判定を聞く晴翔と、悔しさを隠さない松﨑さん。
展開としては、松﨑さんの良さを晴翔が消した試合でしたが、松﨑の不屈の精神力・折れない心は、最後まで見る者の心に響いたはずです。
松﨑さんはタイトルも複数獲得しましたが、やはり記録より記憶に残る名選手だったと思います。
バックステージでの1枚です。
この試合の勝者は晴翔ですが、敗者はいなかったのだということです。
予告通り、この試合で引退した松﨑さん、お疲れ様でした。
指導者としてのご活躍を祈念しています。
さて勝って松﨑さんから、格闘技選手として最も大切なものを受け継いだ、と思いたい晴翔。
次戦は4/17(日)、やはりKNOCKOUTで場所も同じ後楽園ホール。
相手は、奇しくも3/12でも同じ工興行に出場し、第1試合で見事なKO勝利を飾った、乙津 陸(クロスポイント大泉)です。
アマチュアで数々のタイトルを獲得して、デビュー後3連勝中の17歳は、この階級期待の星なのでしょう。
松﨑さんとの比較では格下かもしれませんが、こちらとしては警戒レベルを下げられる相手ではないと考えています。
よろしければ、応援お願いいたします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。