観戦レポート 20201004 BOM WAVE02 ~ Get Over The COVID-19 ~

”最先端の総合武道”空道 大道塾 三鷹同好会/Team Tiger Hawk Tokyoの小野です。

今回もムエタイの試合レポートです。

Battle of MuayThai

略してBOM。

肘や首相撲の制限が少ない「ムエタイ」を前面押しにしているプロモーションで、タイで経験を積んでいる若い選手が多いことから注目してます。

第10試合 -49kg 3分5R

名高・エイワスポーツジム vs. 阿部 秀虎

(3:15頃~)

小野もセコンドとして参戦してきました。

なので、この試合は客観的なレポートというより、裏話的な要素も含めたストーリー的にお読みいただければと思います。

名高は弱冠19歳ながら、日本はもちろん、タイでも最軽量級で無敵を誇り、ラジャダムナン/ルンピニーの両メジャースタジアムの統一王者となっています。

タイでタイ人相手に「ムエタイ」で勝てる数少ない外国人選手(タイ人以外という意味)です。

対する阿部は戦績こそ見劣りしますが、やはりタイで修行を積んだ技術と、小柄な体格からの想像を裏切るパンチ力が持ち味の選手。

仙台・鷹虎ジム所属のため、東京での試合の時にはサポートに入っています。

2人とも体重が軽すぎて、日本では必ず上の階級の選手と組まれてきました。

しかし今回は適正体重での試合です。

この試合が決まったと、仙台の鷹虎会長から連絡があったときは、心底驚きました。

飲んでいたビールをこぼしたほどです(笑)。

前回のBOM参戦のとき「何年かかけて、名高のレベルまで這い上がっていこう」と話していたくらいだからです。

賭けのあるタイはもちろん、日本ですら通常は組まれないくらい差がある組合せなのです。

今回は2人とも適正体重と書きましたが、大きい・重い相手でも日本人なら寄せ付けずに圧勝する名高と、体格差に涙を飲むケースの多い秀虎。

正直、普通に闘って勝てる相手ではありません。

小野も第三者の目線だったら「2R持てば上等」と思ったはずです。

それくらい、名高の強さはよく解っています。

しかし、セコンドにつくからには確率が低くとも勝たせるプランを考えて遂行させるのが仕事です。

名高の数少ない負け試合を思い出して見返し(少ないだけにすぐ思い当たりました)、勝っている試合も含めて感じていた性格的な部分も考慮して「勝てるとしたらこういうパターンかな」という作戦とも言えないようなプランを考えて、秀虎と会長に伝えました。

・蹴り合いの距離をキープ

・パンチの距離に詰めてきたら離れるか組みつく

・組んだら投げられるけど仕方ない

・倒されずに3R以降になると、名高が焦れてくるはず

・カウンターが当たるチャンスがあるかも

...最後が「かも」で終わるプランですから、作戦とはやはり言えないですね。

(^_^;)

しかもかなり消耗戦になる、キツいプランですし、カッコいいものでもありません。

それでも勝つためならやる、と秀虎は言いましたし、そのための準備もしてきました。

試合開始です。

1R、映像を見返しても、秀虎は上記のプランをかなりしっかり遂行していたと思います。

蹴りの威力では劣るものの、上下に蹴り分けて、時には圧をかけつつ、名高が詰めてくるとはずして、と。

解説の石井一成選手や朝陽・PKセンチャイジム選手は、秀虎が入りづらいだろうと解説していましたし、勝つには勇気を持って距離を詰めなければとも言っていました。

一般論としては、間違いなく正解です。

が、入らないのは予定通りで、勇気を持って飛び込むのはもっと後だと考えていたわけです。

1R、秀虎はよく我慢して乗り切ったと思います。

「我慢」というのは、実力がはっきり上の相手にプレッシャーをかけられたら、いっそ打ち合ったほうが精神的には楽だからです。

これをもうひとつ続けて、その先に勝負、と思っていましたが、名高はやはりその上を来ました。

高いミドルでプレッシャーをかけて、パンチの距離が合わないと判断したのでしょうか。

すぐに組み合う距離に持ち込んできました。

上手くくっつけば投げられて済んだのですが、組み際の中間距離にとどまった(とどまらされた)瞬間に左ヒジ打ち一閃です。

テンプルを打ちぬかれた秀虎は腰砕けにダウン。

小野の経験上、テンプルへの攻撃は意識はしっかりですが、脚にきます。

秀虎はちょっとふらつきながら試合続行しますが、それでもこの時点ではまだ闘えていました。

組んで膝を狙ったのか、名高が近い距離に詰めようとした時、秀虎のカウンターの右が軽くヒットします。

もちろん深追いはしません。

が、名高が凄いのはここからでした。

あえてもう一度、似たタイミングで詰めてテンカオを蹴り、秀虎のパンチのリターンを綺麗にかわしたのです。

まるで、その前の動きを修正するかのように。

リングサイドで観ていても「パンチ見切ろうとしてる?」というイヤな印象でした。

そして今度こそ、というタイミングでテンカオを突き刺し、二度目のダウンです。

つまり、しようと思ったことが上手くいかない → 修正 →自信を持って実行、という練習のようなプロセスを試合中に行ったわけですね。

実力差からくる余裕もあったと思いますが、それにしてもそうそうできることではありません。

立った秀虎は、ダメージはかなりあったと思いますが、よく逃げずに闘ったと思います。

ムエタイでは、国際式ボクシングやキックボクシングと違い、倒された選手が逃げてダメージを回復させて次のラウンドに賭ける、という戦術はまずありません。

戦意を失ったとみなされると、賭けが成立しなくなり、ストップされるからです。

どちらがいいと言うことではなく、そういうものだというレベルの話ですが、その意味では秀虎は「ムエタイ」を闘ったと思います。

もちろん、ダメージで動けない相手を逃がすほど名高は甘くありませんしね。

最後は右のヒジ打ちで3度目のダウンを奪われ、KOで試合は終わりました。

ヒジを狙っているのは解りましたが、ヒジを防ぐために腕を伸ばせば、ヒザで腹を狙われたでしょう。

「詰み」だったわけです。

終わってみれば、小野が「第三者」的に予想した通りにはなったのですが、その過程では、上で書いてきたようなことが起きていました。

現時点の2人のレベル差は、まあ絶望的なほどですが。

秀虎は絶望などしていません。

凄く悔しいのは間違いないと思いますが、まだ強くなれると前を向いています。

いつになるか判りませんが、「名高の相手になるのは、日本人なら秀虎しかいないな」と思われるくらいの成績を収めて、また挑める日がくることを願います。

そして、名高はタイでも再び頂点に立つ姿を見せてほしいと思います。

名高・エイワスポーツジムは、選手としてずっと観てきていますが、今回は対戦という思いがけなすぎるかたちで(!)初めて直接顔を合わせることができ、少しだけ話しました。

礼儀正しく、周囲への接し方なども若い子たちの模範となる選手でした。

...本人も充分に若者ですが(笑)。

(^_^;)

周りの方々がしっかりと育てたのでしょうし、本人がそれに応えることで、周囲の方々も(我々のようなその外側にいる人間も)、さらに応援するのでしょう。

道場/ジムの理想形ですね。

その意味では、秀虎も負けてはいません。

仙台の鷹虎ジムは、プロ選手こそ少ないのですが、秀虎を筆頭に若い選手が大勢控えています。

アマチュアでは全日本タイトルを獲得した高校生もいますので、成績はこれから出てくるでしょう。

そしてそれ以上に、関わっているひとたちの情熱や愛情が強いジムです。

今回は、みんなでジムに集まって中継ごしに応援していたそうです。

悔しい思いをしたのは、選手とセコンドだけではないということです。

以上、裏側レポートでした。

海斗選手の試合のも書く予定。

お読みいただきありがとうございました。

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