観戦レポート 2021 NO KICK NO LIFE① 花岡竜 vs. 吉成士門

”最先端の総合武道”空道 大道塾 三鷹同好会/Team Tiger Hawk Tokyoの小野です。

今週は格闘技イベントがめじろ押しですね。

既に報道などでレポートされているものも含め、興味深かった試合について書いてみたいと思っています。

ひとつめはこの試合。

NO KICK NO LIFE 新章 -雲外蒼天- 第2試合

花岡竜 vs. 吉成士門

メインの一成vs.麗也はもちろんですが、このカードは注目でした。

発表と同時に、コアなキックボクシングファン/関係者がSNSでざわついていたのも理解できます。

全勝対決、というキャッチであおられていましたが、もちろんそんなことは主題ではありません。

単純に、レベルの高い試合になることが必然だったからです。

全勝、つまり無敗にこだわるのはボクシング文化の最も悪いところだと個人的に思っています。

結果、ファンが観たいカードも実現できず、最強を証明したい選手にその機会が与えられない事態につながります。

フロイド・メイウェザー・Jr.は史上最強に近いレベルのボクサーですが、キャリア晩年はマッチメイクに批判が集まってましたよね(それでもみんな観ちゃうくらい凄いのですが(^_^;))。

その点ではプロよりもアマチュアがいいんですよね。

絶対にトップは1人に決まるので。

さて、花岡と士門。

どちらもジュニア時代に無敵を誇る活躍の上、プロ入りした高校生です。

年齢も注目されていましたが、まあそれも味付けくらいの意味でしかないくらい、2人のレベルは高いと思っていました。

花岡は、キックボクシング名門橋本道場。

士門は、やはりムエタイエリート、エイワスポーツジム(名高のいとこです)。

優れた先輩たちの背中を追いかけて育った2人とも、若くしてハイレベルな選手です。

花岡も士門も既にタイトルホルダーですし、士門はNJKFチャンピオンになった選手に直前の試合で圧勝しているので、実質的に国内トップレベルです。

今回観ていてテーマ的に考えたのは、「組みとキャッチング」です。

いわゆるムエタイの首相撲、蹴り足を掴むキャッチングは個人的にはとても重要な技術だと思っています。

しかしながら、打撃格闘技なのだから拳と足だけのほうがわかりやすいだろう、という発想で日本のキックボクシングは近年組み系の技術を置き去りにしてきたところがあります。

言うまでもなく、K-1はその最終進化系なわけですが、おそらくキックボクシング数十年の歴史の中でも、組み系技術は「ルールでは許されるけど重要視はされない技術」ではなかったかと思います。

なので、日本人選手がタイ人と試合をしてハッキリかなわないのは、やはり首相撲やキャッチからのこかしになってしまいますし、勝つチャンスはパンチでのKOという発想になるわけですね。

しかしここのところ、日本人選手でも組み負けずに「ムエタイで」勝負できる選手も増えてきています。

福田海斗、吉成名高のツートップがその代表格ですが、そのあとに続く選手たちにも、その傾向が見えてきていると思えた試合が、この花岡vs.士門でした。

士門は、小野がBOMにセコンドとして参戦した試合にも出ていたので、組み際が強いのは知っていました(が、相手が首相撲弱いだけかも? という疑念もありましたが)。

花岡は組むとどうかは未知数ではありましたが、始まってみるとかなり対応できていたのではと思います。

いいかたちでの組み返しこそできませんでしたが、逆に士門のいいかたちにもほとんどさせませんでした。

1Rから、身長差を活かして遠間でのパンチとミドルキックで自分のペースを掴もうとする士門。

その蹴り足をつかんではこかしにいき、接近してパンチを狙う花岡ですが、どれも空を切らされます。

花岡は士門の動きによく反応していたと思います。

驚くべきは、蹴り足を掴まれた際の士門の落ち着きぶりですね。

キャッチされたまま、微動だにしないバランスを保ち、花岡の次の出方を観察する。

これが日本の16歳のレベルかよ、と驚愕しました。

蹴る選手は、蹴り足を取られるのは当然イヤなものです。

転ばされるか、殴られるか、不安定な一本足で警戒しなければなりません。

なので、日本のキックボクサーで「キャッチされる=自分で転んじゃう」みたいなパターンはよく見かけますね。

日本のジャッジでは、「スリップダウン」扱いで、特に影響ないからです。

もちろんパンチとキックで差がつかなければ印象点で差となることはありますが。

しかしながら。

バランスを重視するムエタイはもちろん、例えば総合格闘技でも「蹴り足を取られて転ばされる」ことは、時に致命傷になるはずです。

その意味で、士門のバランスの良さとキャッチされた後の対応は、格闘技としてのレベルの高さを示していました。

一方の花岡も、ミドルをキャッチされるシーンではよくバランスを保ち、パンチを打ち返すなどしていて、やはりハイレベルでした。

結果、士門が崩すことに成功はしていましたが、何と言うか「苦労して転ばした」感じでしたね。

「簡単に」実行できるのと「苦労して」実行できるのとでは、結果は同じでも選手の心理的な体力への影響はだいぶ違います。

しかも転ばされても瞬時に立ち上がりファイティングポーズを取る花岡。

花岡はキャッチされた後に、軸足を刈る蹴り足を、ジャンプしてかわすテクニックまで見せてくれています。

キャッチされた脚で、相手を上手く抑え込む重心移動ができて初めて可能な技術です。

これは、小野は飯村健一師匠から教わったことはありますが、自分で使えたことはないです。

(^_^;)

ついに強気な姿勢を崩さなかった士門ですが、これまでの国内の相手とは違うプレッシャーを感じたのではないでしょうか。

結果、士門の判定勝ちとなりました。

キャッチや組み際で試合をコントロールしていたのは士門でしたので、妥当な判定ですが、ジャッジ1人はドローにしたのも理解できるところです。

無敗対決は、士門が全勝レコードを伸ばし、花岡は1つ土がついたわけですが、本当にそんなことはどうでもいいのです、と強く思います。

このカード、毎年1回ずつやらないかなあと。

そうしたら、10年後にはお互いに何勝何敗かずつにはなるでしょうし、レベルもどんどん上がるのではと思えました。

2人ともタイで試合して、向こうのホンモノとも競り合っていって欲しいなあとも、勝手に思ったりする好勝負でしたね。

ところで士門。

手足が長く頭が小さいタイ人体形。

個人的には、ジョムトーン・チューワッタナとシルエットが似てることも気になります(笑)。

(^_^;)

お読みいただきありがとうございました。

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